障害福祉

障害福祉サービスの支給量管理:居宅介護・重度訪問介護の支給決定と上限管理の実務

砂時計と、印の付いた卓上カレンダー

障害福祉サービスの「支給量」は、市町村が利用者ごとに決定する月あたりのサービス利用時間(または日数)です。居宅介護なら「身体介護 月30時間、家事援助 月12時間」のように受給者証に記載され、事業所はこの範囲でサービスを提供し、請求します。支給量を超えた提供分は給付されないため、複数の事業所が同じ利用者を支援する障害福祉では、月の途中で「あと何時間使えるか」を把握することが事業所の重要な管理業務になります。

この記事では、支給量がどのように決まるのか(障害支援区分、市町村の支給決定基準、国庫負担基準の関係)を整理したうえで、受給者証で確認すべき項目と、支給量超過を防ぐ月次管理の実務をまとめました。

〜 仕組み 〜

支給決定の流れ

障害者総合支援法に基づく介護給付(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護など)の利用は、次の流れで決まります。

  1. 申請:利用者(保護者)が市町村に申請
  2. 障害支援区分の認定:認定調査と医師意見書をもとに審査会が区分1〜6を判定(介護給付は区分の認定が必要)
  3. サービス等利用計画案の提出:相談支援専門員(またはセルフプラン)が作成
  4. 支給決定:市町村がサービスの種類と支給量を決定
  5. 受給者証の交付:サービス名・支給量・有効期間・利用者負担上限月額などを記載

市町村は、障害支援区分だけでなく、利用者の意向、家族などの介護者の状況、居住の状況、就労・通学などの社会参加の状況を勘案して支給量を決めます。同じ区分でも支給量が異なるのはこのためです。

障害支援区分と主なサービスの要件

サービス 対象の目安 内容
居宅介護 障害支援区分1以上(身体介護を伴う通院等介助は区分2以上) 身体介護、家事援助、通院等介助、通院等乗降介助
重度訪問介護 障害支援区分4以上で、重度の肢体不自由または重度の知的・精神障害により行動上著しい困難がある方 長時間・総合的な介護と外出時の移動支援
同行援護 視覚障害により移動に著しい困難がある方 外出時の情報提供と移動の援護
行動援護 障害支援区分3以上で行動関連項目の合計が10点以上 行動時の危険回避のための援護

要件の細部は厚生労働省の事務処理要領と市町村の基準で定められています。

〜 上限の考え方 〜

国庫負担基準と市町村の支給決定基準

支給量に「上限」があるかどうかは、事業所からよく聞かれる質問です。整理すると、国と市町村で2つの基準があります。

国庫負担基準

国庫負担基準は、訪問系サービスの費用について国が市町村に負担する額の上限を、利用者の障害支援区分ごとに月あたりの単位数で定めたものです。令和6年度報酬改定後の居宅介護の基準は、区分1が3,100単位、区分3が5,890単位、区分6が25,500単位(通院等乗降介助ありはそれぞれ6,410・9,190・28,800単位)、重度訪問介護は区分4が28,940単位、区分5が36,270単位、区分6が62,050単位などです。

ただし、これは市町村全体の利用者分を合算して適用される「市町村への負担金の上限」であり、個々の利用者の支給量の上限ではありません。国庫負担基準を超えた分は市町村の負担が増えますが、必要と判断した支給量を決定することはできます。

市町村の支給決定基準

市町村は、国庫負担基準から算出した支給基準時間に、利用意向・介護者の状況・社会参加の状況などを勘案した加算時間を加えて支給量を決める、といった独自の支給決定基準(ガイドライン)を定めています。松戸市の基準のように、サービスごと・区分ごとの標準支給量と、基準を超える場合の審査の仕組みを公表している自治体も多くあります。事業所としては、所轄の市町村の基準を一度読んでおくと、支給量の変更申請の相談がしやすくなります。

基準 決めるもの 事業所にとっての意味
国庫負担基準(国) 市町村への負担金の上限(区分別・月あたり単位) 直接の上限ではない
支給決定基準(市町村) 利用者ごとの標準的な支給量と審査の方法 変更申請の目安になる
受給者証の支給量 その利用者が使えるサービス種別と月あたりの量 事業所が管理すべき上限
〜 実務 〜

受給者証で確認すべき項目

サービス開始時と更新時に、受給者証の次の項目を事業所の利用者情報として登録しておきます。

  • サービスの種類ごとの支給量(時間/月または日/月)と、身体介護・家事援助などの内訳
  • 支給決定期間(有効期間)と更新のタイミング
  • 障害支援区分と認定の有効期間
  • 利用者負担上限月額と、上限管理事業所の有無
  • 通院等乗降介助や特別な加算(同一時間帯の2人派遣など)の記載

複数の事業所でサービスを分け合っている場合は、他事業所の利用予定分を差し引いた「自事業所で使える量」を確認しておくことも必要です。

支給量超過を防ぐ月次管理

支給量の超過は、月末に請求データを作るときに初めて気付くことが多く、その時点では取り返しがつきません。次の3点を月の途中で回せる仕組みにしておくのが実務のポイントです。

  1. 予定の段階で見る:月初のシフト作成時に、利用者ごとの予定時間の合計と支給量を比べる。予定が支給量を超えていれば、この時点で調整する。
  2. 変更のたびに見る:追加訪問や延長のたびに、その月の累計が支給量を超えないか確認する。紙やExcelで累計を手計算していると、ここで漏れが出る。
  3. 月末前に見る:残量が少ない利用者を20日ごろに洗い出し、相談支援専門員と共有する。変更申請が必要なら、月内に間に合わせる。

サービス提供の記録と支給量が同じ場所で管理されていれば、この3つは自動化できます。シフトに予定を入れた瞬間に「今月の支給量をあと何時間超過しているか」が分かるだけで、超過はほぼ防げます。

〜 Colibriなら 〜

Colibriの支給量管理

Colibriでは、利用者情報に障害福祉サービスの支給量と認定期間を登録しておくと、シフトで実績サービスを追加・変更するときに、その月の支給量を超過している場合に警告が表示されます。居宅介護・重度訪問介護などの支援記録、シフト、勤怠、給与計算は同じアプリで扱えるので、複数の事業を運営する事業所でも利用者ごとの残量を確認しながら予定を組めます。移動支援の支給量も同じように管理できます。

→ 障害福祉のシフト管理機能を見る

→ 障害福祉の支援記録機能を見る

よくある質問

支給量を超えた分は給付の対象にならず、事業所の請求は認められません。利用者に自己負担を求めることも契約上の問題になります。月の途中で超過が見込まれる場合は、相談支援専門員と市町村に早めに相談し、支給量の変更申請を検討してください。

国庫負担基準は国が市町村に交付する負担金の上限であり、個々の利用者の支給量の上限ではありません。市町村は独自の支給決定基準を定め、必要と判断すれば基準を超える支給量を決定できます。

原則として重度訪問介護の対象者は重度訪問介護で総合的に支援するため、居宅介護との併給は限定的です。市町村の支給決定基準で扱いが定められているので、受給者証の記載と市町村の判断に従ってください。

更新申請は利用者(または相談支援専門員)が行いますが、事業所も有効期間を把握しておき、期限前に更新の状況を確認してください。有効期間外のサービス提供は請求できません。

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