指定申請や更新、運営指導(実地指導)のたびに求められる「勤務形態一覧表」。過去のシフトや勤務表を出して、全員分の勤務時間をExcelに目がチカチカしながら打ち込む、本当にめんどくさい作業です。
このページでは、厚生労働省の参考様式と解釈通知をもとに、勤務形態一覧表の書き方と常勤換算の計算ルールを訪問介護の目線で整理しました。最後に、Colibriならこの作業がシフトのデータから5秒で終わる理由もご紹介します。
勤務形態一覧表とは
正式名称は「従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表」。事業所の従業者全員について、職種・勤務形態・資格・日ごとの勤務時間を1枚にまとめ、人員基準を満たしていることを一覧で確認するための書類です。指定申請・変更届・更新申請の添付書類として、また運営指導で勤務実績を確認する資料として提出を求められます。
様式は長らく自治体ごとにバラバラでしたが、文書負担軽減の流れを受けて、厚生労働省が全国共通の参考様式を示しています。
厚生労働省の参考様式(Excel)
参考様式は次の3回の事務連絡で整備されてきました。
- 令和2年3月31日(Vol.805):訪問介護・通所介護・介護老人福祉施設・小規模多機能型居宅介護の4種類について、見直し後の参考様式を提示。
- 令和2年9月30日(Vol.876):残りのサービス種別を含む全サービスの参考様式を提示。
- 令和3年3月30日(Vol.956):自治体・事業者の意見をもとに記載項目を削除・簡素化し、事業所のシフト表で代替する場合の必要項目を明確化。
見直しの基本的な考え方として、通知には次の点が明記されています。
- 記入する期間は「4週間ではなく1か月(暦月)」とする(運営指導での実績確認にも同じ様式を使えるようにするため)。
- 人員数の確認に必要な数値(常勤職員の勤務すべき時間数、利用者数など)を様式に含め、可能な限り自動計算する。
- 必要項目を満たしていれば、各事業所で使用するシフト表等の提出で代替できる。
→ 介護保険最新情報 Vol.805「従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表」の参考様式の取扱いについて(PDF)
訪問介護の様式に記入する項目
訪問介護の参考様式は、従業者ごとに次の項目を記入する構成です。
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| (1) 職種 | 管(管理者)・訪介(訪問介護員等)・サ責(サービス提供責任者)から選択。職種ごとにまとめて記入。 |
| (2) 勤務形態 | A〜Dの区分(下記参照)。 |
| (3) 資格 | 介護福祉士・実務者研修修了者・初任者研修修了者など、人員基準上求められる資格を記入(保有資格をすべて書く必要はない)。 |
| (4) 氏名 | 従業者全員。 |
| (5) 勤務時間数 | 暦月の1日〜31日について、日ごとの勤務時間数。 |
| (6) (7) 合計・週平均 | 1〜4週目の勤務時間数合計と、その週平均(合計÷4)。 |
| (8) 兼務状況 | 兼務先と兼務する職務の内容。 |
| (9) 利用者数 | 前3月の平均、または新規の場合は推定数。 |
| (10) 常勤の従業者が週に勤務すべき時間数 | 就業規則等で定めた常勤の週所定労働時間(常勤換算の分母)。 |
| (11) 常勤換算後の人数 | 訪問介護員等の週平均勤務時間数の合計 ÷ (10)。参考様式では小数点第2位以下切り捨て。 |
勤務形態A〜Dの区分と「常勤」の考え方
| 記号 | 区分 | 記号 | 区分 |
|---|---|---|---|
| A | 常勤で専従 | C | 非常勤で専従 |
| B | 常勤で兼務 | D | 非常勤で兼務 |
ここでよくある勘違いが「正社員=常勤、パート=非常勤」という区分です。参考様式の記入方法には、常勤・非常勤は雇用形態ではなく勤務時間で判断することが明記されています。事業所の常勤の勤務すべき時間数に達していれば、パート雇用であっても常勤として扱います(参考様式の例:常勤者が4週160時間勤務とされている事業所なら、パート雇用でも4週160時間勤務する従業者は常勤扱い)。
「専従」は、原則としてサービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことを指します。同じ事業所で訪問介護員とサービス提供責任者を兼ねる場合や、併設事業所の職務を兼ねる場合は「兼務」になります。
常勤換算の計算方法
常勤換算方法は、省令(指定居宅サービス等基準 第2条)と解釈通知(老企第25号)で次のように定義されています。
ルール1:分母は「常勤の勤務すべき時間数」、ただし週32時間が下限
分母は就業規則等で定めた常勤の所定労働時間です(週40時間の事業所なら40)。ただし、常勤の所定労働時間を週30時間などと短く定めている事業所でも、常勤換算の分母は32時間を下回れないのがポイントです。分母を小さくして人数を多く見せることはできません。
ルール2:分子に入る時間は「勤務表上に位置付けられた時間」だけ
勤務延時間数は、解釈通知で「勤務表上、当該事業に係るサービスの提供に従事する時間又は当該事業に係るサービスの提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置付けられている時間の合計数」とされています。サービス提供時間だけでなく、準備や待機の時間もシフト上で位置付けられていれば含められます。逆に、他のサービス(例:同じ人が担当する訪問看護や併設デイ)の勤務時間は、訪問介護の勤務延時間数には算入できません。
ルール3:1人あたりの算入時間は常勤の勤務すべき時間数が上限
解釈通知は「従業者一人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とする」としています。つまり、常勤の人が残業して週50時間働いても、常勤換算上は1.0のままです。残業で人員基準を満たすことはできません。
計算例:常勤の週所定労働時間が40時間の事業所
| 訪問介護員等 | 勤務形態 | 1〜4週目の合計 | 週平均 |
|---|---|---|---|
| 阿部さん | A(常勤・専従) | 160時間 | 40.0 |
| 井上さん | A(常勤・専従) | 168時間(残業8時間) | 40.0(上限) |
| 小池さん | C(非常勤・専従) | 96時間 | 24.0 |
| 鈴木さん | C(非常勤・専従) | 64時間 | 16.0 |
| 田辺さん | D(非常勤・兼務) | 40時間(訪問介護分のみ) | 10.0 |
| 週平均の合計 | 130.0 | ||
訪問介護員等の人員基準「常勤換算2.5以上」を満たしていることが確認できます。端数処理は厚生労働省の参考様式では小数点第2位以下切り捨てですが、指定権者(都道府県・市町村)の記入要領で異なる指示がある場合はそちらに従ってください。
「常勤」の定義と令和3年度改定(育児・介護との両立支援)
「常勤」は、解釈通知で「当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していること」と定義されています。管理者やサービス提供責任者のように「常勤」での配置が求められる職種では、この定義を満たす必要があります。
令和3年度介護報酬改定では、仕事と育児・介護の両立を支える観点から、全サービス共通で次の取扱いが認められました。
- 週30時間で「常勤」扱い:職員が育児・介護休業法による育児の短時間勤務制度に加えて、介護の短時間勤務制度等を利用する場合も、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。
- 常勤換算でも「1」扱い:育児・介護休業法による短時間勤務制度等を利用する職員は、週30時間以上の勤務で常勤換算の計算上も1(常勤)と扱うことを認める。
- 産休・育休中の代替配置:「常勤」での配置が求められる職員が産前産後休業や育児・介護休業等を取得した場合、同等の資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算することで人員基準を満たすことを認める。この場合、特定事業所加算やサービス提供体制強化加算など常勤職員の割合を要件とする加算についても、休業中の当該職員を常勤職員の割合に含めてよい。
→ 令和3年度介護報酬改定の主な事項について(厚生労働省・PDF、「人員配置基準における両立支援への配慮」)
訪問介護の人員基準と常勤換算の関係
勤務形態一覧表は、最終的に次の人員基準(指定居宅サービス等基準 第5条・第6条)を満たしているかを確認するための書類です。
| 職種 | 基準 | 勤務形態一覧表でのチェック |
|---|---|---|
| 訪問介護員等 | 常勤換算方法で2.5以上(第5条第1項)。初任者研修修了者以上の資格が必要。 | (11) 常勤換算後の人数が2.5以上か。サービス提供責任者も訪問介護員等に含めて計算。 |
| サービス提供責任者 | 常勤・専従の訪問介護員等のうち、利用者40人またはその端数を増すごとに1人以上(第5条第2項)。利用者数は前3月の平均値。利用者数が40人を超える事業所では、一定の条件のもと常勤換算方法による配置も可能。常勤のサ責を3人以上配置し、サ責業務に主として従事する者を1人以上置くなどの条件を満たせば、利用者50人ごとに1人以上とすることができる(第5条第5項)。 | (9) 利用者数 ÷ 40(切り上げ)以上の「サ責」が勤務形態A(またはB)で記入されているか。 |
| 管理者 | 専ら職務に従事する常勤の管理者を1人(第6条)。管理上支障がない場合は、同一事業所の訪問介護員等やサ責、併設事業所の職務との兼務が可能。 | 「管」が勤務形態A(専従)またはB(兼務)で記入され、兼務の場合は(8)に兼務内容が書かれているか。 |
→ 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)
→ 解釈通知:指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(老企第25号)
運営指導でよく指摘されるポイント
- 残業を分子に入れている:常勤1人の算入時間は常勤の勤務すべき時間数が上限。忙しい月ほど過大に計算しがちです。
- 分母が32時間未満になっている:週30時間を常勤と定めていても、常勤換算の分母は32時間が下限です。
- 兼務の時間を二重に数えている:訪問介護とデイサービスを兼務する人は、訪問介護に従事した時間だけを訪問介護側に算入します。
- 「4週」で集計している:参考様式は暦月ベースです。申請用と実績用で同じ様式を使い回せるよう、月単位で作成しましょう。
- 予定と実績が食い違う:指定申請時は勤務予定、運営指導では勤務実績を求められます。シフトの予定と実績の両方が残る仕組みがあると安心です。
- 資格欄に人員基準上の資格が書かれていない:資格をすべて並べるのではなく、訪問介護員等として求められる資格(介護福祉士、実務者研修、初任者研修など)を記入します。
勤務形態一覧表(常勤換算)は5秒で終了
ここまで読んでいただいた通り、勤務形態一覧表の中身は「誰が・どの職種として・何日に・何時間働いたか」の集計です。つまり、シフトと勤怠のデータがあれば自動で作れる書類です。誰のためにもならない集計作業はやめて、介護に集中して下さい。Colibriが作っておきます。
Colibriでは、シフト画面で管理している計画・実績サービスから、従業員ごと・日ごとの勤務時間を暦月で集計し、常勤換算データとしてExcelで出力できます。介護・障害・総合事業・移動支援といったサービス区分ごとの出力にも対応しているので、複数事業を運営している事業所でも、事業ごとの勤務延時間数を分けて確認できます。出力したデータは厚生労働省の参考様式にそのまま転記できます。
シフトの予定と実績の両方がColibriに残るため、指定申請用の「予定」も、運営指導で求められる「実績」も、同じ画面から数秒で用意できます。特定事業所加算の人材要件(介護福祉士の割合など)のチェックにも同じデータが使えます。
参考資料(公式)
- 「従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表」の参考様式の取扱いについて(介護保険最新情報 Vol.805・令和2年3月31日)
- 同(その2)全サービス種別の参考様式(介護保険最新情報 Vol.876・令和2年9月30日)
- 指定に関する様式例について(その2)参考様式の改定(介護保険最新情報 Vol.956・令和3年3月30日)
- 厚生労働省:指定申請等の様式例(勤務形態一覧表 参考様式の掲載ページ)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)
- 指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日 老企第25号・解釈通知)
- 令和3年度介護報酬改定の主な事項について(社保審・介護給付費分科会 資料)