ICT・DX

介護事業所が使えるICT補助金:介護テクノロジー導入支援事業とデジタル化・AI導入補助金

電卓と印鑑を横に、申請書類をクリアファイルにまとめる手元

介護ソフトや記録アプリの導入費用を抑えたい事業所が使える補助金は、大きく2つあります。ひとつは厚生労働省の地域医療介護総合確保基金を財源に都道府県が実施する「介護テクノロジー導入支援事業」、もうひとつは中小企業庁の「デジタル化・AI導入補助金」(令和7年度補正予算事業から旧IT導入補助金を名称変更)です。前者は介護現場の生産性向上を目的とした介護専用の制度、後者は業種を問わない中小企業向けの制度で、それぞれ対象経費と要件が異なります。

この記事では、2つの制度の違い、事業所側の要件、申請の流れとスケジュールの考え方を、公式情報をもとに整理しました。金額や期限は年度と都道府県で変わるため、具体的な数字は必ず最新の公募要領で確認してください。

〜 全体像 〜

2つの制度の違い

項目 介護テクノロジー導入支援事業 デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
所管・実施 厚生労働省(地域医療介護総合確保基金)を財源に各都道府県が実施 中小企業庁・中小企業基盤整備機構
対象者 介護保険法等に基づくサービス事業所・施設(都道府県が範囲を定める) 中小企業・小規模事業者等
対象経費の例 見守り機器、インカム、介護記録ソフト、バックオフィスソフト、パッケージ型導入(機器の組み合わせ)、導入と一体の業務改善支援 IT導入支援事業者が登録したITツール(ソフトウェア、クラウド利用料、導入関連費など)。枠によりPC・タブレット等のハードウェア
申請枠 導入支援、パッケージ型導入支援、業務改善支援など(都道府県ごと) 通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠
公募 都道府県ごとに年1〜2回、期間が短い 年に複数回の締切
主な要件 生産性向上の取組(研修会参加、委員会設置、業務改善)、効果報告、ケアプランデータ連携システム対応、SECURITY ACTION gBizIDプライム、SECURITY ACTION宣言、IT導入支援事業者と共同申請、効果報告
〜 制度1 〜

介護テクノロジー導入支援事業

介護テクノロジー導入支援事業は、介護現場の生産性向上を目的に、見守り機器・インカム・介護記録ソフトなど、業務時間の削減効果が確認されているテクノロジーの導入費用を補助する制度です。国の基金を財源に都道府県が実施するため、対象事業所・補助率・上限額・公募期間は都道府県ごとに決まります。

三重県の令和8年度の公募を例にすると、対象は県内の介護保険法に基づくサービス提供事業所・施設で、事業は「介護テクノロジー等の導入支援」「パッケージ型導入支援」「導入支援と一体的に行う業務改善支援」の3つ。公募期間は令和8年6月1日から7月6日までで、一次募集の申請総額が予算を大幅に超えたため二次募集は行われませんでした。

事業所側の主な要件として、次のようなものが挙げられています。

  • 介護テクノロジー導入支援の研修会への参加
  • 導入効果に関する調査票(アンケート)への回答
  • 利用者の安全・介護サービスの質の確保・職員の負担軽減に資する委員会の設置
  • ケアプランデータ連携システムの利用対象事業所での対応
  • SECURITY ACTION(情報セキュリティ対策の自己宣言)

同じ三重県の介護テクノロジー定着支援事業の実施要綱では、介護ソフトやバックオフィスソフトは職員数に応じた基準額、インカムや移乗支援機器は1機器あたりの基準額、パッケージ型導入は400万円以上1,000万円以下で都道府県が設定する額、といった補助額の考え方が示されています。補助率は要件(生産性向上の取組の実施、ケアプランデータ連携やLIFEへの対応など)によって引き上げられる仕組みで、事業所の取組次第で自己負担が大きく変わります。

申請までの準備

  1. 所轄の都道府県の公募ページで、対象事業所・対象機器・公募期間を確認する
  2. 導入したい機器・ソフトの見積書と、導入計画(何の業務時間をどれだけ減らすか)を用意する
  3. 研修会・相談窓口(介護生産性向上総合相談センターなど)の日程を確認する
  4. SECURITY ACTIONの宣言と、ケアプランデータ連携システムへの対応方針を決める
  5. 公募開始後すぐに申請できるように、様式を前年度分で予習しておく
〜 制度2 〜

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する費用を補助する中小企業庁の制度です。事業所が自分で好きなソフトを買うのではなく、事務局に登録された「IT導入支援事業者」が提供する登録済みの「ITツール」を、支援事業者と共同で申請する仕組みです。介護ソフト、会計・給与ソフト、勤怠管理ソフト、業務のクラウド化などが典型的な対象です。

2026年度の申請枠は、通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠の5つです。補助率と補助上限は枠と事業規模で異なり、公式サイトには補助額のシミュレーターも用意されています。

申請の流れ

  1. gBizIDプライムのアカウントを取得する(発行に時間がかかるため最初に着手)
  2. SECURITY ACTIONを宣言する
  3. 導入したいITツールを提供するIT導入支援事業者を選び、共同で交付申請を作成する
  4. 締切までに申請し、交付決定後に契約・導入・支払いを行う(交付決定前の契約は対象外)
  5. 事業実績報告を提出し、補助金を受け取る。その後、一定期間の効果報告を行う

公募は年に複数回の締切が設定され、交付決定から事業実施期間の終了までの期間が決まっています。公式サイトの事業スケジュールで、次の締切と事業実施期間を確認してください。

補助金と処遇改善加算をあわせて考える

令和8年度の介護職員等処遇改善加算では、ケアプランデータ連携システムの利用や生産性向上推進体制加算の算定が「令和8年度特例要件」となり、上乗せ区分(加算Ⅰロ・Ⅱロ)の条件になりました。補助金を使って介護ソフトを導入し、ケアプランデータ連携に対応することは、導入費用の削減と加算の上乗せの両方につながります。補助金の申請計画は、処遇改善加算の計画書と同じタイミングで考えるのが効率的です。

→ 介護職員等処遇改善加算の要件と手続きはこちら

→ 新規事業所の立ち上げで使える制度はこちら

〜 Colibriなら 〜

Colibriと補助金

Colibriは、訪問介護・訪問看護・障害福祉・施設サービスの記録・シフト・帳票・勤怠・給与をひとつのアプリにまとめたクラウドサービスで、ケアプランデータ連携システムの標準仕様に対応しています。補助金の対象になるかどうかは都道府県の公募内容と申請枠によりますので、導入をご検討の際は、所轄の都道府県の公募状況とあわせてお問い合わせください。見積書や導入計画の作成に必要な情報はご用意します。

→ 訪問介護向け機能を見る

→ 請求ソフト連携・ケアプランデータ連携を見る

よくある質問

同じ経費に対して2つの補助金を重ねて受けることはできません。事業所単位で見て、介護記録ソフトは介護テクノロジー導入支援事業、会計・労務ソフトはデジタル化・AI導入補助金というように、対象経費を分けて申請するのが一般的です。各制度の公募要領で併用の扱いを確認してください。

都道府県によって対象サービスの範囲が異なりますが、介護保険法に基づくサービス事業所を広く対象にしている自治体が多く、訪問介護の記録ソフトやインカムも対象になります。所轄の都道府県の公募ページで対象事業所と対象機器を確認してください。

介護テクノロジー導入支援事業は都道府県ごとに公募期間が短く(例:三重県の令和8年度は6月1日〜7月6日)、予算超過で一次募集のみで終了する例もあります。前年度のうちに導入したい機器の見積もりと、生産性向上の取組の計画を用意しておくと確実です。デジタル化・AI導入補助金は年に複数回の締切があります。

介護テクノロジー導入支援事業では、研修会への参加、導入効果の報告(調査票への回答)、委員会の設置、ケアプランデータ連携システムへの対応、SECURITY ACTIONの宣言などが要件とされることがあります。デジタル化・AI導入補助金でも、gBizIDプライムの取得やSECURITY ACTIONの宣言、事業実施後の効果報告が求められます。

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